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地方公務員・司書◆採用試験の仕組みと現状

公共図書館で正規職員の司書として勤務するには、地方自治体が実施する地方公務員試験を受験し合格する必要があります。司書職の採用試験は、あまり公に情報が流通している現状ではないため、公共図書館の正規司書を目指す方のために、採用試験に関する仕組みと現状をまとめました。

日程と区分、特徴、筆記試験、面接試験の概要は以下の通りです。自分の希望する自治体が、どの区分で実施されるのかを把握し対策を立てる必要があります。

上級A日程
6月の第4日曜日に実施されます。道府県政令指定都市、人口20万人以上の市役所が実施する大卒採用試験です。近年は、これらに加え中規模自治体も参加するようになりました。基本的に人事院委員会が設置されている自治体が実施するため、公平性が保たれています。
【筆記試験】
難易度が高いです。教養試験は、問題数が40問~50問、試験時間が120分~150分で、ばらつきがあります。知識問題と知能問題の配分は、ほぼ均等のため対策は立てやすいです。専門試験の難易度は高く、テキストには記載されていないマニアックな問題も散見されますが、確実に得点できる問題をミスなく落とさない事が合否を分けます。記述試験と論文試験を行う自治体もあるため、十分な準備が必要です。
【面接】
配点が高く重視されているため、入念な準備が必要です。基本的には個別面接ですが、グループディスカッションがある場合は、予備校や大学の公務員試験講座などで準備をしておくと良いでしょう。面接では、自治体への愛着と理解度、課題と政策の理解、マネジメント能力、業務上の調整力などが判断されます。

上級B日程
7月に実施される、中規模自治体の大卒採用試験です。近年は、実施する自治体が減少傾向にあります。人事院委員会が設置されている自治体が少ないため、公平性に疑問符がつきます。どちらかと言うと、地元や近隣在住の受験生が有利です。
【筆記試験】
教養試験と論文試験がメインで専門試験を行う自治体は、ほとんどありません。難易度はA日程と同レベルか若干下がる程度です。教養試験が得意な人には有利で、そうでない人は不利な試験区分です。また、専門職の採用試験なのに専門試験がないと言う事は、行政の中で司書職の立ち位置が微妙な自治体が多いということです。A日程よりも筆記試験の重要性は低いと言えます。
【面接】
筆記試験の重要性が低いという事は、裏を返せば面接重視だということです。A日程よりも自治体への愛着と理解度が重視される傾向があり、他地域からの受験者には壁が厚いでしょう。もちろん、マネジメント能力と業務調整力がある人材なのかを見極める質問はされますが、地元や近隣在住で自治体の事情に精通した人材の方が採用されやすいです。

上級C日程
9月の第3日曜日に実施される、中規模~小規模自治体の大卒採用試験です。A日程に次いで採用試験を行う自治体が多い試験区分です。人事院委員会が設置されている自治体がないため、公平性に疑問符がつきます。B日程以上に地元や近隣在住の受験生が有利です。
【筆記試験】
B日程同様に教養試験と論文試験がメインで、専門試験を行う自治体は、ほとんどありません。教養試験が得意な人には有利で、そうでない人は不利な試験区分です。B日程より難易度が下がります。B日程の自治体と同じく、専門職試験なのに専門試験がないと言う事は、行政の中で司書職の立ち位置が微妙な自治体が多いということです。筆記試験の重要性は低いと言えます。
【面接】
自治体への愛着と理解度が極めて重視される傾向があり、他地域からの受験者には壁が相当厚いでしょう。マネジメント能力と業務上の調整力がある人材なのかを見極める質問はされますが、地元か近隣在住で自治体の事情に精通した人材の方が採用されやすいのは事実です。こうなると、予備校や個人での対策では、どうにもならない部分が多く、自分の居住地に近い自治体を選択する事が合格への近道なります。採用の透明性は低く、採用基準もあいまいです。そこが、都道府県庁政令指定都市と大きく異なる点です。自治体の規模が小さくなるほど、出来レースな採用活動が行われていることは暗黙の了解です。学歴が高く筆記試験が高得点でも、自治体の暗黙の採用基準に当てはまらなければ、何度受験しても採用は遠いです。

中級日程
9月の第4日曜日に実施され、司書を採用する自治体が最も多く実施する試験区分です。この区分の特徴は、A日程、B日程、C日程の採用試験とは異なり、資格免許職の採用試験として、明確な位置づけの上で行われることです。司書職が存在し,、専門職として採用する優良な自治体ばかりなので、ここで実施される自治体を目指して内定を獲得する事が王道と言えます。採用数が比較的多い、横浜市と埼玉県は狙い目です。
【筆記試験】
短大卒区分で実施されるため、難易度は高くありません。選択肢も白黒つけやすい問題ばかりで難問は少ないです。教養試験は問題数が40~50問、試験時間が120~150分です。知識問題と知能問題の配分は、ほぼ均等のため対策は立てやすいです。専門試験は全国共通問題として、問題数が40問、試験時間が120分です。難問奇問が少なく、基本を忠実に学習すれば成果が出る試験と言えます。専門試験の配点比率が高い自治体もあるので、専門試験重視で学習する必要があります。二次試験の判断材料として、論文試験を課す自治体も多いので対策を忘れずに。
【面接】
個人面接がメインでグループディスカッションを行う自治体は極めて少なく、やりやすいと言えます。面接回数も多くて2回なので負担も少ないです。専門職として採用されるため、自治体の公共図書館の実情や課題は必ず把握しておく必要があります。それを基に将来の展望も語れるようにしておきましょう。

東京都
東京都は司書の専門職制度があり、2類という採用区分で9月第2日曜日に実施されます。他の自治体とは別日程の独立した試験です。全国各地から人が集まる自治体なので、地元有利の概念はなく、人事委員会もあるため試験の公平性が保たれています。また、過去問も公開されています。採用数が少ないのが難点ですが、日程的に併願できるので受験しておくべきだと思います。
【筆記試験】
教養試験は短大区分で実施され、難易度は低く素直な問題ばかりです。専門試験は記述式で7問中4問を選択します。いずれも過去問が公開されているので、対策は立てやすいです。専門試験は難化傾向で、知識を深堀する問題が増えています。
【面接】
個別面接1回です。東京都立図書館の現状と課題を理解しておくことが必要です。全ての自治体で最も公平性と透明性が高いため、素直にありのままの自分を演出しましょう。

その他に上記以外のイレギュラーな日程で実施される自治体も多くあります。普段から採用情報をチェックしておく必要がありますが、筆記試験と面接の傾向としては、B日程とC日程に近いものと言えるでしょう。