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国際交流基金図書館の司書募集に疑問あり

求人募集で「専任」と記載されていれば、普通は正規雇用での採用だと思うだろう。だが、誤解を招くような求人もあるので注意がいる。今回は、そんな事例を紹介する。

それは、国際交流基金関西国際センター図書館の専任司書の募集で、募集内容の見出しには専任とあるが、内容を見ると期限付きの委嘱雇用なのである。以下に求人内容の一部を抜粋する。

国際交流基金 関西国際センター図書館 専任司書募集について
3.主な業務内容
(1)図書館業務の統括
(2)図書館における司書としての各種専門業務並びに企画及び運営管理業務
(3)当センターの研修カリキュラムにおける指導(図書館利用、専門情報収集などの指導)への参画
4.契約(雇用)期間
令和3(2021)年9月1日以前(右期限内で個別に決定)~令和5(2023)年3月31日
(JFの附属機関図書館専任司書委嘱規程の条件を満たす場合には、更新の可能性もあります。)
6. 応募資格
以下の(1)~(3)のすべてを満たす者
(1)司書資格を有すること
(2)図書館の常勤の司書として10年以上の実務経験があること
(3)常勤職員が5人以上(複数の司書を含むこと。)の図書館において3年以上の管理的役職の経験があること
7. 待遇・勤務条件
(1)身分:JFの附属機関図書館専任司書委嘱規程に基づく専任司書として委嘱(雇用)
8. 応募方法
推薦状1通(任意)
※推薦者と本人との関係を推薦状に明記。

https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/kc_210625.html


表向きには、専任募集とあるので正規採用に見えるが、よく見ると「契約雇用期間」「委嘱」というワードが書かれている。つまり、期限付きの雇用(非正規雇用)というわけだ。特に委嘱という事が気になる。委嘱とは、一定期間に特定の仕事を外部の者に任せることを指す。これを専任というワードに置き換え、誤解を招く表記にしている。そのくせ、職務内容と採用条件は高度なもので、任意ではあるが推薦状の提出を求めている。応募条件に適うのは、限られた有能な者だけで、組織の厚かましい姿勢が見える。

こうした、高度なキャリア経験を求めるくせに、雇用条件が不安定なケースもブラック求人と見て良いだろう。しっかりとしたキャリアをお持ちなら、こうした疑惑案件ではなく、地方自治体や学校法人への転職を目指した方が良い。キャリアの安売りになるので、都合良く使われ、期限が来れば契約満了の末路が待っている。

独立行政法人の裏事情に少し触れるが、地方自治体や私立学校に比べ、事業の継続性と存在意義、予算確保に難があり、将来的な安定性が担保できない組織もある。応募するなら事前調査も必要だが、個人で分かる範囲は限られているので、正規雇用での募集でなければ、回避するのが無難である。